第V]話「人と力」


デュッセルとキシュガルに助けられたゲイザとタクス達はさらに
上の階へと向かった。
「アイツが……いる」
タクスがそう呟いた。
11階から12階へ階段を歩いて昇っていった。
「やっぱり、貴様……!」
タクスは拳を握り締めた。
「ほほう、よくここまで来たな」
そこにいたのはラムダとファムレイグの王だった。
「ラ、ラムダよ! こやつらを始末するのだ!」
「……」
ラムダは黙って刀を鞘から抜いた。
ゲイザとタクス達は全員武器を構えた。
「フ、邪魔だ。とりあえず貴様から始末する」
そういってラムダは後ろにいたファムレイグ王の心臓を刀で貫いた。
「ぐぉぅっ!?」
「貴様の野望は醜い……俺の野望、そのために俺は生きてきた」
ファムレイグ王に突き刺さった刀を抜き、ラムダは刀についた血を払った。
そして、ファムレイグ王はあっけなく死んでしまった。
「何? 自分の主を殺しただと!?」
ゲイザは驚いて言った。
「主、だと? こんなやつ、主ではない。ただ利用価値があったから傍にいたまでだ」
「あなたの心に、光はない……!」
マイはペンダントに手を当てて、そう言った。
「ゲイザ、こいつは俺が倒す」
「タクス!?」
タクスは鞘から剣を抜いていつでも戦えるように構えていた。
「俺は、アイツが憎い・・・だから、俺はアイツを倒す。
それに、ゲイザには行ってあげなきゃいけない人がいるんだろ?
早くいってやれって」
「わ、わかった……タクス、頼むぞ!」
ゲイザ、マイ、スレイドはさらに上の階へと続く階段を昇って行った。
「っち、まあよい。もうすでに……あの少年がドールの元へ向かった
ところで手遅れだからな」
ニヤリと笑って、ラムダは刀を構えた。
「さあ、来い。俺の野望を砕けるのなら、砕いて見せよ!!」
「ルベリィ、ネイアー、ガイ。手出しはしないで見ていてくれ。
これは俺の戦いだ」
そういってタクスは5歩、ラムダに近づくように歩いていった。
「わかったわ。タクス、死なないで」
ルベリィは笑わないで、心配そうに言った。
「負けるなよ、タクス」
ガイは拳を握り締めて、タクスに言った。
「あたしの分も・・・頑張って。タクス」
家族をラムダに殺されたネイアーは、そうタクスに言った。

「でやぁぁっ!!」
「フンッ!」
タクスが振った剣を、ラムダは刀で簡単に受け止めた。
辺りに金属がぶつかり合ったときに起こる音が響き渡る。
「言ったろう?憎しみや怒りだけで何ができると!!」
受け止めたタクスの剣を、タクスごと弾いた。
弾かれたタクスは、後ろに仰け反ったが再び体制を立て直し剣を構えなおした。
「俺は、あのときの俺とは違う!」
「笑わせるっ!」
ラムダは縦に斬りつけたが、タクスは右に避けた。
刀の刃が空を斬る。
「俺には、仲間がいるっ!」
「それがどうした!?」
さらに刀で横に斬りつけたが、タクスは剣で防いだ。
再び辺りに刀と剣がぶつかり合う音が響く。
「仲間がいたところで、何も変わらんさ!」
「変わるっ!」
防いだ刀を弾いた。するとラムダは後ろに下がった。
「何が変わるというのだ!何も変わらんだろう!」
「一緒に戦ってきて、一緒に旅をして……だから、想いも同じだ!」
タクスは再びラムダに斬りかかる。しかし、あっさりとかわされてしまった。
「想い……? くだらん! 想いが何になるというのだ!」
「想いは力になる! 正しい力に!!」
「力は闇を生むのだよ!」
「そんなことはない!! 俺は、ただ守りたいだけだ! 人々を!」
タクスの剣とラムダの刀が交差する。
「貴様の野望とは何だ!」
「俺の野望……それは人類抹殺」
二人の剣と刀の刃がじりっとぶつかり合う。そして鍔競り合いとなった。
「なぜ人を殺す!」
「人はダメな生き物だからだよ!争いを好み、同じ人を傷つける!」
「なぜそう決め付ける!」
「決め付けてなどないさ。そういう生き物なのだよ、人は!!」
タクスはふと思い出した。戦争のことを。
その瞬間、ラムダの刀の刃がタクスの左腕に斬りかかった。
「ぐぅっ!」
斬りつけられた左腕からは血が流れ出していた。
「だけど、人は変われる!!」
ラムダの刀をタクスは右手に持っている剣で弾き飛ばした。
そして刀は床に突き刺さった。
「人は、変われる? 笑わせる! 変わっているのなら、何故
戦争が起きる!!」
タクスは俯いた。そして、再び顔を上げた。
「それは、一部の人が起こした事だ。多くの人は関係ない!!」
「ならば何故人は武器を持つ!」
タクスは剣を構え、ラムダを睨みつけた。
「力は・・・・・・守りたい人のために、あるんだぁぁっ!!!」
タクスの剣はラムダの腹に突き刺さった。
「そう、だったのか……ふはは、ははは」
笑ってラムダは目を閉じた。

「タクス!」
ルベリィ、ネイアー、ガイはタクスの元へ走り出した。
「勝った、よ……野望ってやつに、勝った」
タクスは仲間に笑いかけた。
(俺は、これでよかったんだよな……)


続く

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