第W]U話 『影の真相』
フォーグライクスに戻ったイルアたちは、一旦ルディフを除いて今までのことを整理する
ことにした。
「いろいろなことがありすぎて、整理するのも一苦労しそうだね……」
苦笑しながらイルアは言った。
確かに、今までのことを整理するのは一苦労だ。
「まず、何から整理するんですの?」
「敵について、だろう? ――最初から俺たちの戦ってきた敵は、同じ勢力だった。それ
は裏で、アラグダズガという人物が糸を引いていたことに違いないだろう……」
『グラディームのファムレイグ王失踪事件』
ラムダを良い駒として利用しつつ、王はネイホ、ヘズリィ大陸を破壊しようと破滅の塔を
出現させたがそれは駒のラムダ、そしてタクス=カタスロフィによって阻止されてしまっ
た。しかし、ファムレイグ王はアラグダズガによって利用されていたに過ぎなかった。
この事件によってネイホ大陸、ヘズリィ大陸共にとてつもない被害を受けた。
そして、過去に精霊に作られたドールの封印が破滅の塔の兵器のために解かれ、最終的に
は利用されてしまったが、グラディームに残っている唯一の二体が消えてしまった。
『マルディアグのディメガスによる町村襲撃事件』
ディメガスを始めた彼の四天王を中心に、始めの第一大陸破滅作戦がゲイザ=ライネック
とその仲間達によって阻止されてしまった。
しかし、その被害は壮大なもので村が二つ、街が一つ壊滅されてしまった。
また、優秀な研究者、ディアーグ博士の暗殺。ナイトメアデスサイズによる村の壊滅など、
被害は大きいものとなっている。
唯一、その事件が第一大陸で留まってくれた事が救いかもしれない。
『マルディアグ、第二大陸クォルピアと第三大陸ルスツェンブルガの戦争』
第三大陸から仕掛けられたこの戦争は、アラグダズガという者の仕業だった。
魔物を操り、街を襲撃していたが、それはイルア=ディアーグによって阻止された。
そのおかげで、被害はそんなには広がらなかったが、第二大陸の王が幾度も命の危機にさ
らされてしまった。
事件のことをまとめたレンは、ため息をつきながら腕を組んだ。
「ざっと、こんなところか……グラディームまで被害を受けていたのか」
「これは全て、アラグダズガがやったことなんだよね……」
今までの事を良く考えて見てみると、そうなる。
「やつの目的は何か、まだはっきりしていない……それが難点だ。しかし、これまでの仕
組まれた事件と今回のことを通して考えるとしたら、二つの星がただ単にいらないものか
もしれないな――あと、気になることが一つあるんだが」
「なに?」
「ゲイザ=ライネック――」
「――!?」
その名前に、イルアは驚いた。
全ての事件にかかわっている彼は、何かあるのか。
「ルディアが言っていたんだ。危機を救う鍵、と……」
「危機を救う鍵……? ゲイザが?」
「どんな力を持っているかはわからない。けれど……何かあるぞ、彼には」
ゲイザ一人に、世界を救う力があるのだろうか?
イルアは再び思い出した。ミリアの言葉――
――次が、最後のチャンス。ゲイザを助けてあげて……――
最後のチャンスって、いつだろう……
もしかしたら、彼女はこのあと起こる全てを知っているのか?
そしたら、この危機に精霊の力が必要なことも、ゲイザの心が闇にのまれていることも、
全てお見通しなわけがわかる……
――あなたの、マインドオブライトを、大切な人に――
光の心……
イルアは少し気になったので、レンにそのことを聞いてみることにした。
「マインドオブライトって、何だかわかる?」
「……光の心?」
「うん、そうなんだけど……」
率直な意見をすぐに返されたので少し戸惑ったが、すぐにレンは真面目に答えてくれた。
「誰もが持つ力、じゃないのか?」
「それじゃあ、レンは誰もが光の心を持っているって言いたいの?」
「まあ、そうだな……」
「ふ〜ん……誰もが持つ力、ね」
多分、頭で考えてもわからないものなのだろう。
でも、少なからずミリア=ビリアムズは知っている。
マインドオブライトを――
「さ、そろそろ転送するからしっかりシートベルト閉めてね」
イルアとレンは座席のベルトを締めると、すぐに辺りは白い光で包まれていった。
そしてグラディームについたフォーグライクスは、次の目的地、調和の遺跡を目指した。
続く……
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