第U]Y話「闇のミリア」
「くそっ! どうすればいい……!」
ゲイザは黒一のクナイを邪剣ザオグガーズで受け止めていた。
しかし、ミリアとマイはラムダに捕らわれてしまった。
と、そのとき何者かがラムダを斬りつけた。
「ぐぅっ!?」
「ドールは貴様らに渡すわけにはいかない!」
スレイドがラムダを斬りつけていた。
「スレイドさん!」
「すまん、少々遅れたな。さて、ドールを返してもらおう」
斬られたラムダはニヤリと微笑んだ。
「ふ、遅かったな」
「何……?」
そういうと、ラムダはマイを突き放した。
「きゃっ!」
飛ばされたマイをスレイドは受け止めた。
しかしミリアはラムダに捕まえられたままだった。
「ドールは1人だけでいい」
「ミリア!! ――くっ!」
ゲイザは黒一を弾き返した。後ろに下がった黒一はそのまま消えて
ラムダのところへ飛んだ。
「ミリア!」
「世界、滅する……」
虚ろな瞳をしたミリアはそう呟いた。
「まさか、ミリアさん!……闇に心を呑まれたのですか!?」
「くっくっく……こっちにとっては都合がいい。感情なんてものあったら、
殺戮の兵器として使えないからな……」
ミリアがなぜそうなったのかはゲイザ達にはわからなかった。
しかし、これだけはわかっていた――このままラムダ達を逃がせば
世界は滅亡してしまう。
「ミリアを放せっ!!」
ゲイザはラスガルティーとザオグガーズを構え、右手と左手で1本ずつ持った。
「貴様らの相手をしている暇はない。お前ら、やれ!」
どこからか、ファムレイグの兵がぞろぞろと出てきて、目の前にラムダ達が見えなくなるほど
の人数が出てきた。
「くそっ! ラムダッ!!!」
「さらばだ! じっくり最後の時を惜しむんだな!」
そういってラムダと黒一とファムレイグ王は王の間からつながっているベランダへ出て
そこの設置されていた飛行艇で飛んでいってしまった。
「ゲイザ、とりあえずこいつらを片付けるぞ!」
「わかった!」
スレイドは剣と刀を構えた。
「斬刹剣!!」
刀を何人もの敵に斬りつける。
すると、斬りつけられた兵は溶けて消えていった。
「何、フラッシュゴーレムだと……!?」
「とりあえず、人間じゃないってことは確かなんだ! マイ、いくぞっ!!」
「はいっ!」
ゲイザも何人もの兵を斬り、マイはカードシューターにカードをセットした。
「切り裂け!」
カードシューターから勢いよく発射されたカードはファムレイグ兵をまとめて切り裂いた。
そして、全ての兵を倒し終わった。
「フラッシュゴーレム……なぜだ」
「スレイドさん、フラッシュゴーレムって?」
「フラッシュゴーレムは昔あった技術だ。魔法で人や動物に似せるものをつくったものが
このフラッシュゴーレムだ。人であって、人ではない。ドールの体もそのようなものだ」
「そうだったのか……」
と、そのとき何かを感じ取ったスレイドは王の間に続いてるベランダに出た。
「ゲイザ、あれを見ろ!」
「これは、なんだ……!」
強い邪悪なものが感じられた。
そして、数秒たった後、大きな地震が起こった。
ここからでも大きく見える、巨大な塔がどこからか出現した。
「な、なんだ――あの塔は!」
「なんだかものすごく強い欲望と憎しみ……邪悪な魔力を感じます」
ゲイザとマイは現れた巨大な塔を見ていた。
「アレが、破滅の塔……」
「破滅の塔?」
ゲイザがそうスレイドに聞くと腕を組んで、塔を睨んでいった。
「あれは、この世界を破滅へと導く塔だ。あの塔の頂上には魔力を光に変えて
この地を攻撃する装置がつけられている・・・・・・あんなものを起動させられたら、
大地は裂け、人々は死んでいってしまう」
「そんな!!」
マイが王の間からスレイドとゲイザのいるベランダへ来た。
「そして、その兵器を動かすためにミリアさんは連れて行かれたのですね」
マイはそういって、俯いてしまった。
「ああ、そうだ。ドール一人の魔力は人間の何万倍の力がある。
その魔力で攻撃されたらお終いだ……とりあえず、あの塔へ向かうぞ」
「わかりました。ゲイザさん、スレイドさん。テレポートします」
マイは胸にあるペンダントに両手を添えると、ゲイザ達は光に包まれて消えていった。
続く
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