第U]W話「運命」
ゲイザが遺跡の中でメイラと会っているとき、ミリアとマイは
二人で話をしていた。
「マイちゃん……1つ、聞きたいことがあるんだけど」
「なんですか?」
ミリアは転がっている岩に座っているマイの横に座った。
「私、なんで記憶がないのかな?」
マイは驚いた。自分にはもうすでにドールとして生きていたときの記憶が
戻っていた。しかしミリアにはまだ戻っていなかった。
「それは……ワタシにはわかりません」
「そっか」
それを聞いたミリアは少々残念そうな顔をして俯いた。
するとマイはミリアの顔を見ないで空を見ながら言った。
「ミリアさん――ドールとかの前に、楽しい記憶があるでしょう?
だから、ドールの記憶がなくったっていいじゃないですか」
マイはミリアを見て微笑んで言った。
「そう、だね……ドールとしての記憶じゃなくて、私としての記憶だから」
ミリアがそういった後、二人は少しの間黙った。
「あの、ミリアさん」
「ん、なに?」
次はマイがミリアに質問をした。
「もしも――もしも、ですよ。ワタシ達、ドールがこの世界に
存在することで災いが起きるとしたら、どうします……?」
「それは……」
ミリアは何かを言いかけて黙り込んだ。
そう、マイもわからなかった。ドールがいることで災いが起きるとしたら、
「死ななきゃいけない……ってことなの?」
「そうかも、しれませんね。ワタシとミリアさんが
ドールとして生まれた時から、そう決められていたのかもしれません」
そうマイに言われたミリアは首にかけていたペンダントを見るように俯いた。
その悲しそうな顔をしたミリアをマイは見た。
「運命は、変えられない、から……」
ミリアはそう呟くと、誰かがこういった。
「そんな運命、いくらだって変えられる」
ミリアとマイは声がするほうを振り向くと、ゲイザがいた。
「ドールだから、死ななきゃいけないなんてことはない。
人も、ドールも、同じ命を持っているからな」
ゲイザはミリアとマイが座っている岩に歩いてきた。
「ゲイザ……」
ミリアはゲイザの姿を見て安心する反面、運命の残酷さを感じ取っていた。
ドールとして生まれてきたときから、運命は決まっているものだと……
「とりあえずスレイドのいるグランシル城へ一刻も早く向かわなきゃいけない。
そのためにはミリアとマイの力が必要だ」
「テレポートですね」
マイはそういって岩から降りた。
「わかりました、グランシルへいきましょう」
ミリアも岩から降りると、三人は光に包まれて消えた。
ゲイザ達はテレポートの光に包まれ、気づいたときには城の中にいた。
丁度ゲイザが闇の力を出して暴走した部屋だった。
「この部屋……じゃあ、ここを出て上の階にいけば王の間へたどり着くはずだ」
「そうね、スレイドさんはどこにいるかわからないけど、早く行きましょ」
ゲイザ達は部屋を出て、兵に気づかれないように息を潜めて歩いていった。
そして、王の間は目の前にあるところまで来た。
「よし。ミリア、マイ。いくぞ」
「うん!」
「はい!」
3人は走って王の間へ行った。
「む……だれだ貴様らは」
グランシル王がゲイザ達を見て言った。
「彼らが一人の少年とドール達です」
そこにはラムダと黒一がいた。
「そうかそうか! ラムダよ、あれを使え」
「はっ」
ラムダは黒いコートの中からある装置を取り出し、レバーを下げた。
すると、強大な魔力が放たれた。
「あぁっ!!」
「うくっ……!」
するとミリアとマイは倒れ、動けなくなっていた。
「貴様ら、何をした!!」
「うるさい、黙れ。黒一、相手をしてやれ!」
ラムダは黒一にそう指示すると、黒一はクナイを取り出し、
跳躍しゲイザに奇襲をかけた。
「くっ!」
「あのときのお礼、させてもらうよ」
ゲイザは聖剣ラスガルティーで黒一のクナイを弾いた。
「まだまだね」
さらに黒一はゲイザに斬りかかろうとし、もう片方の剣、邪剣ザオグガーズで
鍔競り合いをした。
「ミリア!マイッ!!」
ラムダがミリアとマイを抱えていた。
「ドールは我々の計画に必要不可欠。貰っていくぞ」
「く、くそっ!!!」
力を抜くと黒一に斬られる。また、ラムダを逃がせばミリアとマイは……
続く
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