第U]V話「強敵」


キシュガルと戦ってから、1日がたち、薬のおかげもあって
タクスの怪我はよくなり動いてもいいようになった。
「傷が致命傷じゃなかったみたいね。薬のおかげでもあるけど」
タクスが城に運ばれてから、マリアズは寝ないで付きっきりの看病をしていたのだ。
「ありがとう、マリアズさん」
タクスはマリアズに頭を下げてお礼を言った。
「また怪我をしたら見てあげるわ。それじゃあね」
そういってマリアズは城の研究室に戻っていった。
「タクス、王様が任務があるからタクスの怪我が治り次第来いっていってたよ」
ガイはタクスをゆっくり立たせてあげた。
「そうだね、じゃあ王の間へ行こうか」
タクス、ガイ、ネイアーは王の間へ向かっていった。

王の間に入ってみると、いつも兵が2、3人いるのに今日は王の隣に
ルベリィが立っていただけだった。
タクス達は王の前に横に並んで立った。
「タクスよ、怪我は大丈夫か?」
「はい、おかげ様ですっかり治りました」
「そうか、それはよかった。さっそくだが任務についてもらいたい。
今回の任務で最後となる」
「本当ですか!?」
タクス達は驚いた。ギルドで王の依頼を受け、幾度も依頼を成功してきた。
それも今回で終わりだ。
「今回の任務は王都ヴァレスタールに進入し、城に捕らえられている姫を救出してほしい」
王は目を閉じて、タクス達に言った。
「わかりました」
「今、こちらの全兵力をヘズリィに送り込んでいる。多少危険もあるが、
兵達が道を作ってくれているはずだそれとルベリィを君達につけよう」
王の隣に立っていたルベリィが、タクス達の前に歩み寄ってきた。
「またよろしく」
ルベリィは笑っていた。昨日の不機嫌さは嘘のようだ。
「それでは」
タクス達はルベリィをつれて王の間を後にした。

城を出てすぐ出発し、山を越えて難関の場所へ来ていた。
前回侵入し、聖白銀の戦神と戦った場所。
要塞都市、バイラヴァだ。
すると、一人の兵士がタクス達に手招きをして呼んだ。
「君達、姫を助ける人達だね?それならこの都市を通るのは危険だ」
「じゃあどうすればいいんですか?」
「こっちへきてくれ」
兵がバイラヴァから南の山に歩いていった。無論タクス達もそれについていった。
「この山を越えて、東にいけば王都ヴァレスタールにつくよ」
東の方角を、兵士は指をさして言った。
「ありがとう」
「君達も、がんばれよ」
タクスはそういって兵を見送ると、その山を越えるため、歩いていった。

山を越えたタクス達はさらに歩き、ヴァレスタールについた。
「ここがヴァレスタール……」
「さすがね。敵の王都だけあって兵もいっぱいいるわ・・・」
ルベリィは辺りを警戒しつつ言った。
所々にヘズリィの兵士が辺りを警戒しながら立っている。
その兵士達に見つからないように、タクス達は目的地である城を目指した。
そして城の目の前まで来ていた。
「ところで、姫はどこにいるの?」
「そんなの、わからないわ」
ネイアーはルベリィにきっぱりといわれ、がっくり来た。
「しょうがない。とりあえず侵入するしかないな」
タクスとルベリィは2人の門兵を気絶させ城に侵入していった。

「さて、どうするかな……」
タクスが辺りを見回した。すると、不自然なことに兵は一人もいない。
普通の城だったら、30人ぐらい人はいるはずだ。
「何故兵がいない?」
「それはね、オレらだけでこの城を任されてるからだよ」
不意にどこかから声がした。しかも、聞き覚えがある。
タクス達は後ろを振り向いた。
そこに立っていたのは、デュッセルとキシュガルだった。
「何っ!?」
「そんな――聖白銀の戦神と群青の守護神……!?」
タクスとルベリィは剣、レイピアをそれぞれを構えた。
つづいてガイとネイアーも武器を構えた。
「我が名はデュッセル=ウィルガイア……いざ、参るッ!」
「いくぜっ!!」
デュッセルは大剣を構え、キシュガルは槍を構えた。
「勝てる気がしないが……後には引けないっ!」


続く

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