第[話 『新たな決意』
デュッセル達はついに本当の依頼主であるルアグ博士に
会うためにその人がいる村に来ていた。
「ここがレスコォールです」
ファリスはデュッセルとキシュガルにこの村のことを説明していた。
辺りを見渡してみると何やら見たことのないものがあった。
「あのさ、これが前言ってた魔法機械?」
キシュガルがジュースが缶に入ってる機械を指差した。
その機械は静かな機械音を出して村の片隅に置いてあった。
「その機械は自動販売機というんですよ。100ガルド入れれば1本
缶ジュースが出てきます」
「へぇ――なぁデュッセル、買ってみようぜ!」
物をねだる子供のようにキシュガルはデュッセルに言った。
キシュガルの顔は何やら好奇心旺盛な子供のようだ。
「うむ、買ってみるか」
そういってデュッセルは自動販売機のガルドを入れるところに
300ガルドを入れた。
「それで、これはどうすればいいんだ?」
ガルドを入れたのはいいが、これから何をすればいいのか
わからなくデュッセルはわからなくなりファリスに聞いた。
「飲みたいジュースの下にあるスイッチを押せばそのジュースが
出てくるんですよ」
ジュースの種類はりんご、みかん、ぶどう、コーヒー、ブラックスカッシュ、
の5種類があった。
「じゃあ、ファリス――好きなのを1つ選んで買っていいぞ」
「え、いいんですか?――でも」
「躊躇うことはない、ここまで案内してきてくれたお礼だと思ってくれればいい」
「そうですか……それじゃ、わたくしはこれで」
ファリスがそういって押したスイッチの上に書いていたジュースの名前はブラックスカッシュ。
スイッチを押してから少し経つと機械の下についているジュース受け取り口に
缶に入ったジュースが落ちてきた。
「その、ファリス――あのさ、りんごからコーヒーまではわかるけど、
ブラックスカッシュってなに?」
キシュガルは物凄く変な名前のジュースを指差した。
するとファリスは缶ジュースを両手で持って微笑んでこういった。
「シュワシュワーってしてて、甘くて美味しいんですよ」
その説明を聞いたデュッセルとキシュガルはとてもわかっていないような
顔をしてそのブラックスカッシュという飲み物を見ていた。
「ま、いいか・・・じゃ、オレはこれ、っと」
キシュガルはみかん、デュッセルはコーヒーを押した。
ジュースを飲み終えるとデュッセルとキシュガルはファリスに連れられて
ルアグ博士がいる研究所を目指した。
いかにも研究所っぽいしろいドーム状の建物があった。
多分そこがルアグ博士の研究所だろう。
その建物の入り口らしい扉をファリスは開けて入った。
「博士、ただいま戻りました〜」
「おぉ、ようやく戻ったか、ファリスよ」
科学者がよく来ている白衣を身にまとった男の老人がこっちを振り向いた。
椅子に座りながら本を読んでいたらしい。
「ファリス、この人がルアグ博士か?」
デュッセルは目の前にいる科学者らしい老人を見てファリスに聞いた。
「はい、そうですよ」
そういって微笑んで言うと、ファリスはルアグ博士のいるところまで
デュッセルとキシュガルを連れて行った。
いかにも研究室らしいものが沢山ある。試験管、ビーカー、鉱石などが机の上に
散乱していた。
「ファリスよ、このものたちがワシの頼んだものたちか?」
「はい、博士の言ったとおりの人材を選んで来ました」
ルアグ博士はデュッセルとキシュガルの目の前に立ち、じっと二人を見た。
「おぬし達は強いか?」
いきなり二人の前に立っていたルアグ博士はそういった。
「当たり前さ、倒せないやつなんてない!」
円満の笑みでキシュガルは胸を張ってそういった。
しかしとなりのデュッセルは呆れ顔で隣のキシュガルを見て、
「俺達が強いかどうか、何の関係があるんだ?」
するとルアグ博士はデュッセルとキシュガルに背を向けて自分の座っていた椅子に
再び腰をかけた。
「この世界がどうなっているかは、ファリスが話したのだろう?」
「ええ、話しましたよ」
「ならば話が早い。おぬし達に任務を頼みたいのじゃ」
そういったルアグ博士は自分の机の引き出しを開けて何かを取り出した。
取り出したものを机の上に置く。
「なんだそれは?」
デュッセルがそのルアグ博士が取り出した機械らしきものを指差して言った。
「これはじゃな、魔界結界壁自動装置改というものじゃ。
元々街や村にはモンスターを入れないように結界が張ってある。しかし
ディメガスの連中にはその結界を破る方法を見つけよったのじゃ」
ファリスが何かを思い出したかのように両手の手のひらを合わせ、
「ディメガスとはこの世界を危機に陥れようとしている張本人です」
と補足説明をした。
「それでおぬし達には魔界結界壁自動装置改をここから西にあるセントグラームとデュラグム
という街の中央に設置してきて欲しいのじゃ。まあ、設置方法はファリスに教えるので
おぬし達はファリスを護衛してくれればそれでよい。――どうじゃ、頼めるかの?」
デュッセルは少し悩んだが、十秒も経たずに決心した。
「違う世界に来て、平和を守るためここまで来たんだ……もちろんやらせてもらおう」
続く
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