第]Z話「ネイアー」


ネイアー達は、負傷したタクスと救出したマリアズをつれて
ネイホの王都ライラズまで戻ってきた。
「とりあえず、タクス君を安静なところに寝かせなきゃ・・・私について来て」
マリアズは城に戻ると、寝室にタクスを寝かせるように支持した。
傷の手当てはマリアズとネイアーが行ったが、致命傷だ。
しかし、傷は少し浅かった。
ネイアーは泣きそうな顔をしてタクスを見ていた。
「タクスがこのまま死んでしまったら……あたし」
「ネイアー、とりあえず王様に報告しに行こう」
「そうだね、わかった」
ガイとネイアーはタクスの看病をマリアズに任せて王のもとへ向かった。

「おぉ、戻ってきたか」
王は待ち焦がれていたかのようにしていた。
ネイアーは黙っていたのでガイが代わりに報告した。
「すみません……マリアズ=ダグラの救出は成功しましたが、
アスザ姫の救出は無理でした。バイラヴァの牢屋に捕まっていたのは
マリアズ=ダグラ、ただ一人でした。話によると姫はヘズリィの王都
ヴァレスタールに連れて行かれたらしいです」
「そうか……仕方ないな。任務ご苦労だった……しかし、
タクス=カタスロフィがいないようだが、彼はどうした?」
王はいつもタクスが先頭になって報告をしていたのに、いないことに不信に感じた。
「聖白銀の戦神、デュッセル=ウィルガイアの攻撃により負傷してます。
今はこの城の寝室で寝かせてもらってますが……」
「そうか、あの聖白銀の戦神が――ならば、傷をたちまち治してしまう
といわれている薬草をプロマーグで買ってくればよい。金は私が出そう」
王は袋に入った金を兵に渡して、ガイに渡させた。
「薬をマリアズに渡せば何とかしてくれるだろう」
「ありがとうございます」
そういって二人は王の間を後にした。

「ネイアー、よかったな」
「うん、早いところタクスを治してあげようよ」
ネイアーとガイは商業の街プロマーグに向かった。

プロマーグは大いに賑わっておりショッピングモール、出店、そして海、
ネイアーは少しの間辺りを見回していた。
「すごいねぇ……もしかしたら王都のライラズより賑わってるかもしれないよ」
「商業の街だからな。でも、貧乏な家と裕福な家の差が激しすぎるってのも一つの難点だ」
「ガイって、この街の人なのかい?」
「まあ、そういうことになるかな」
二人はとりあえず薬草を探すために歩いた。
「そういえば、薬草専門店があったはずだ。そこに行ってみよう」
ネイアーはガイに連れられて薬草専門店に向かった。
薬草専門店、ドラッグストアと言ったところか。
中に入ってみると色々な薬草が瓶に入れられて並べられている。
ここの店の人はお婆さんだった。
ネイアーは丁寧にお婆さんに聞いてみた。
「すみません、傷を治すための薬草が欲しいんですけど」
「あぁ……あれだね。ちょっと待ってておくれ」
そういってお婆さんは店の奥に入っていった。
その間、ネイアーとガイは他の薬草を見て回った。
麻痺に効く薬草、毒に効く薬草、眠気を飛ばす薬草・・・・・・
そうしてるうちにお婆さんが戻ってきた。
「癒功の薬草っていってね、これが一番傷に効く薬草だよ」
「ありがとう、お婆さん!」
ネイアーはガルドを渡して、癒功の薬草を受け取った。
そして再び、ライラズを目指した・・・

「これ、癒功の薬草です。プロマーグに行って買って来ました」
ネイアーはタクスの看病をしていたマリアズに渡した。
「これを煎じて、タクスの傷に塗れば約3倍の速さで傷が治る――というものだったはず」
マリアズは薬草を眺めて言った。
そして何かを思い出したかのようにネイアーとガイに言った。
「そうそう、王様の使いの人があなた達を探してたわよ。
戻ってきたら言っておいてくれって」
「マリアズさん、またタクスを頼みます」
ネイアーはマリアズに微笑んで、ガイと共に王の元へ向かった。


続く

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