第]V話「救助」


タクス達は、王の使いの兵士に呼ばれて城に来ていた。
「こちらです。みなさん、ついてきてください」
いつもなら王の間に向かうのだが、今回は違うところへと歩いている。
進むに連れて兵士が多くなってきている。
それもそうだ。向かっているところは作戦会議室。作戦に参加する兵士と
指揮官、軍師が話し合うところだ。
「あなた達には今回の作戦に参加してもらうこととなりました。これは王の
命令でもあり、私達からの願いでもあります」
「俺たちで力になれるのなら、よろこんで」
タクスはそういうと作戦会議室に入った。
作戦会議室には兵士20人、指揮官2人が座っていた。
一人の指揮官がタクス達に気づいた。
「やっときたか。作戦会議中だ、とりあえず座りなさい」
そういわれてタクス達は空いている席に座った。
「今回の作戦は人の救助だ。まず、優先的に姫の救助。そして一人、この戦争になる前に
ヘズリィに送った研究者、マリアズ=ダグラの救助。二人とも要塞都市バイラヴァに閉じ込められている。
何とかして助け出すんだ。この作戦はタクス=カタスロフィ、ネイアー=ビアルグア、
ガイ=イルスの3名を中心として行ってもらう。他の兵はその3人の援護をしてやれ。
戦闘になっても構わん、いいな。諸君らの健闘を祈る」
そういって指揮官二人は作戦会議室から出て行った。
「オレ達が救助をしてこいということか・・・難しいこといってくれるな」
ガイは少々悩みながら言った。
「そうだな……要塞だぞ?牢屋の鍵は剣で壊せるとして、どうやって
進入すればいいんだ?」
「だけど、やるしかないよ。出来るのはあたし達だけみたいだからね」
タクス達は兵士達と王都ライラズを出て要塞都市バイラヴァに向かうために
ネイホとヘズリィの国境線といわれる山を越えるため、エルダーム山脈のルオルの壁
に向かった。
ルオルの壁はヘズリィとファムレイグを分ける巨大な岩壁。通るには通行書が必要だが
今は戦争中なので管理しているものがいない。しかしこの先には敵軍の兵士が
沢山いるだろう。タクス達は無駄な戦闘を避けるべく、慎重に進んだ。

そしてなんとかバイラヴァの前まで来た。
「よし、やっとついた――これから救助に向かおう」
タクスは兵士達に作戦を告げた。
「俺たちが中に進入する。それから30分しても戻ってこなかったら、
そのときはバイラヴァに進入してくれ。あと騒ぎが起こっているようだったら
も進入してくれ。いいな?」
すると一人の兵がタクスに地図を渡した。
「これがバイラヴァの地図だ。印がつけられている所に姫と
マリアズは捕まっている。頼んだぞ。」
およそ20人の兵士達はバイラヴァから少し離れた茂みに隠れさせ、
タクス達は大きい門が開いた隙にバイラヴァの中へ入って行った。

中に入ると街の造りは要塞のようで、敵の主力が殆どと言っていいほど集まっている。
そして見回りをしている兵が数十人もいた。
「物凄い兵士の数だ。下手な行動を起こせば戦闘になってしまう。
兵士に見つからないように、こっそりと目的地まで向かおう」
タクス達は建物に隠れつつ、姫とマリアズの捕まっている所まで急いだ。
たまに見つかりそうになったが、間一髪のところで逃げたりもした。
そうやって、少々時間がかかったが、8分で目的地までいけた。
「ここに姫とマリアズという人は捕まっているのね」
ネイアーは腰に下げている弓を掴んだ。
「とりあえず、中に進入しないと……敵兵が中にいるか?」
ガイはこっそり中に入ってみた。すると見事に誰もいなく、絶好のチャンス時だった。
「よし、じゃあ救助に移るぞ。牢屋とかいうんだから、地下があるはずだ」
やはり予想通り地下があった。そして牢屋も。
「誰?」
大人の女性の声がする。姫の声ではない。
「安心しろって。俺たちはあなた達を救助するために来たんだ」
「あなた達?」
マリアズだと思われる女は「達」という言葉に疑問を持った。
「もしも姫を助けるために来たのなら、それはもう手遅れよ。
姫は前日、王都のほうへ連れて行かれたわ」
「何っ!?」


続く


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