第]T話「意志」
騒ぐ人々、駆ける兵士。
王都ライラズと敵軍の王都ヴァレスタールは戦争の準備で
騒がしかった。
そのヴァレスタールでの出来事だ。
ヴァレスタール城には強い兵士ばかりで
その中でも一番強い『聖白銀の戦神』と呼ばれる剣士、
デュッセル=ウィルガイア。
そしてその相棒、『群青の守護神』と呼ばれる槍使い、
キシュガル=ランフォード。
二人は本来一緒に任務をすることですごい力を発揮をするのだが
王はそれを許さなかった。
「強いものが二人おっても、他の場所が怠る」
といわれ、デュッセルはヴァレスタール城へ。
そしてキシュガルは前線の指揮を執ることになった。
デュッセルは疑問に思った。
なぜ、戦争になってしまったのか。
聞く噂によるとネイホが悪いわけではないということだ。
デュッセルはそれを王に聞きたくて、仕方がなかった。
「俺はただ、剣を振るえばよいのか?」
ヴァレスタール城の王の間の入り口でデュッセルはそう呟いた。
そしてデュッセルは王の間に入っていった。
「む、どうした、聖白銀の戦神デュッセルよ」
デュッセルは左の膝を床に、そして右の膝を立てて頭を下げた。
そして、顔上げて目を王に向けた。
「一つ、お聞きしたいことがあります。この戦争の原因とは何なんですか?」
王はそれを聞くと、ニヤニヤしながら笑っていった。
「お主よ、戦争とはただ国と国が争うものじゃない。それがわからんのかね?」
「わかりませぬ……」
「戦争では物凄い金が動くのでね、それにこの戦争に勝ったらこの狭い土地だけではなく、
ネイホの大陸までいただけるのだ。だから私は戦争の火種を撒いたのだ。」
デュッセルは歯を食いしばっていった。
大体は予想していたが、本当にそうだったとは思いたくはなかった。
「じゃあ、この城にネイホの姫が捕まっているのも王がやったことですか?」
「まあ、頼んだのは私だ。それより、そろそろ守りにつけ。
しっかりこの国のために剣を振るってくれ。聖白銀の戦神よ」
デュッセルは王の笑い声から逃げるように王の間から出た。
「俺は――俺の剣はこんなことに振るうモノじゃないはずだ……
守りたいもの、それはなんだ……この国だったはずじゃないのか?」
デュッセルはただ一人この戦争に疑問を持っていた者かもしれない。
「だが、敵は敵。敵が来たら、斬らねばならぬ――仕方あるまい」
そういってデュッセルは城の守りにつきに行った。
一方、タクスは酒場で次の任務が来るまでガイと暇をつぶしていた。
「はぁ、やっと一息つけたという感じかな」
タクスはそう言ってコップに入った水を飲み干した。
「確かに。さっきまで戦争だ、とかで忙しかったからね……」
ガイはカフェオレを飲んでいた。
「ガイはこの戦争に疑問を持ってない? なんか変じゃない?」
「確かに。なんでわざわざ姫をさらったりするのかがわからないね。
それならこの国が無防備のときに一斉に攻めてきたほうが楽じゃない?」
その言葉を聞くとタクスは何かをひらめいたように声を上げた。
「わかったぞ……金か」
「金?」
「そう。戦争には何かと関係してくるからね。あと、土地とか?
ヘズリィって3大陸の中で一番小さいだろ? だからじゃないかなと俺は思うけど」
ガイはなるほどと一言いってカフェオレを飲み干して言った。
「まあ、やらなきゃいけなくなった訳だし、やるしかないんじゃない?」
「そうだね。やるしかない――」
タクスは瞳を閉じると何かを心の中で決意したように、座っていた椅子から立ち上がった。
「俺は、戦う。この世界の人々のために。これがみんなにしてやれる、俺のできる事だから。」
続く
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