第]話「闇の力」
グランシル城にゲイザとマイはミリアを助けるため乗り込んでいた。
こっそり裏道から侵入したから敵兵には見つかっていない。
「多分ミリアさんは地下にある牢屋か最上階の王の間にいるでしょう。
まずは地下牢に行って見ましょうか」
ゲイザとミリアが地下牢に向かおうとしたとき、一人の男が
話しかけてきた。
「君達の探している女の子は地下にはいない」
「誰だ、貴様?」
黒い少々ボロボロなマントを羽織った青年の男。
鋭い目つきは様々な戦いをしてきた証だともいえよう。
「俺の名前はスレイド=ヴァリアー……ついてこい。彼女を助けたかったら、な」
そういってスレイドと名乗った男は黙って歩き出した。
ゲイザ達は少々疑い深いがついて行く事にした。
敵兵の目から逃れつつもゲイザ達は最上階へむかって歩いていた。
そして最上階についた。
「彼女は王の間にはいない。あそこだ。あの兵が無駄にいる所だ」
スレイドが指をさす方を見てみたらグランシルの兵が4人ほど
扉の前に立っていた。やはり、その扉の向こうの部屋にミリアはいる。
「ゲイザ、とかいったな。強行突破する」
「ちょ、ちょっと待て!」
「いいな!俺が敵の相手をするからお前は助けたい人を助けろ!」
そういうとスレイドは剣を構えて兵達に向かって走り出した。
「ゲイザさん、今がチャンスです」
兵がスレイドの相手をしている隙に、がら空きになった扉へ強行突破した。
「ミリア!」
そこにいたのは疲れきったミリアと、黒一とかいうラムダと一緒に
いた黒衣の服を着た忍者っぽい女だ。
「よく来たわね。坊や……」
「お、お前は――あのときの女!」
「ゲ、ゲイザ……助けに来てくれたの?」
ミリアはベッドの上で力尽きていた。何やら色々と術を使わされたのだろうか。
「お前、ミリアに何をした!」
「大したことないわよ。色々と術を使ってもらったりしただけよ」
「貴様……許さない!!」
ゲイザは剣を構えた。黒一もクナイを構えた。
「大丈夫、ちゃんと相手してあげるから」
「俺にはそんな余裕はない!」
「あらそう。じゃあ、苦しむ暇も与えないように一瞬で殺してあげるわ」
そういうと黒一は一瞬にして見えなくなった。
そして気づいた時には体中が痛いことにゲイザは気づいた。
「ぐぅっ!」
血が腕から吹き出た。切り落とされたわけではないが深く斬られた。
「まだ、だ。俺はミリアを助ける……」
「ゲイザ……」
両腕から血が出ているが、剣を握りなおした。
「俺は――俺はー!!」
ゲイザの小刀から黒い光が放たれた。そしてゲイザの
持つ剣から白い光が放たれた。
その光を放つ小刀と剣を片手ずつに持って黒一を斬りつけた。
「うあ゛ぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
何か狂ったように黒一を斬りつける。
「お前が、お前らがあぁぁぁ!!!」
ゲイザの目には輝きがなく、ミリアとマイのペンダントが黒や白の
光が放たれていた。
「ゲイザさん、落ち着いてください!これじゃあなたは闇の力に溺れてしまいます!」
ゲイザはマイの言うことも聞かず、ボロボロになった黒一を吹き飛ばしミリアに攻撃目標を変えた。
「ゲイザ……私を、斬るの?」
「ミリアさん、逃げてください!」
「ゲイザ!!私を助けてくれるんでしょ……斬らない、よね」
ミリアが涙を流したそのとき、ゲイザの剣と小刀から出ていた光が消えて、その場に倒れてしまった。
「ゲイザ……っ」
「どうした!!」
スレイドが部屋に飛び込んできた。
物凄い光景を目の当たりにした。
斬られまくって吹き飛ばされている黒一。
腕から血を流し、ミリアの目の前で倒れているゲイザ。
泣いているミリア。
「何がなんだかわからんが、早くここを出るぞ」
スレイドはゲイザを抱えてミリアとマイを連れて逃げた。
スレイド達はグランシルの宿屋で休んでいた。
幸いゲイザの怪我はミリアとマイのおかげで致命傷にならずにすんだ。
「私が――私のせいで、ゲイザはこんな風になったの?
私のせいでゲイザはゲイザじゃなくなったの?教えて、マイちゃん」
ミリアは眠るゲイザの隣に座って泣いていた。
「ミリアさん……ワタシ達の存在がゲイザさんを不幸にするのです」
「君たちはドールだから、な」
スレイドは何かを知っているように話に割り込んできた。
「ドール。それは感情を持っちゃいけない生き物なんだ。
だが、君達ドールは人でありたいと感情を持ち始めた。空白の心にできる感情」
「それは、ワタシ達ドールには許されないことなんです。」
ミリアは少々困った顔をしてスレイドとマイを見た。
「ドール……?私はドールなの?ドールってなに?
私がドールだから、ドールだからゲイザはこんな風になったの?」
「そういうわけじゃない。彼は、ゲイザは特殊な人間なんだ。
心に闇と光を持つ者。だから、君達と接触すれば暴走してしまうんだ。」
スレイドはゲイザを見た。心に光と闇を持つ者。
「俺もそうだ。まあ、本当は人間誰にでも光と闇の感情は持っているんだ。
だかゲイザや俺のような特殊な人は特に強くその心を持つ……
だから君達は、精霊と契約しろ。ドールが心を持つことの許しを得ればいい」
続く
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